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引っ越し掃除がめんどくさい!退去時にしないとどうなる?

引っ越し掃除がめんどくさい!退去時にしないとどうなる?

引っ越しの準備は荷造りや手続きが多く、ただでさえ大変ですよね。中でも、退去時の掃除は特にめんどくさいと感じる方が多いのではないでしょうか。「退去時に掃除しないと、一体どうなるのだろう?」「そもそも掃除はどこまでやれば良いのか?」といった疑問や不安が次々と浮かんでくるものです。

また、忙しくて掃除が間に合わない場合や、見落としがちなベランダ掃除をしないのは問題ないのか、もし掃除しない場合のクリーニング代はいくらになるのか、といった金銭的な心配も尽きません。さらに、旧居の掃除は何日前までに終えるべきか、新居でのバルサンと掃除はどっちが先かといった具体的な段取り、最終的に専門の業者に依頼すべきかなど、考えるべきことは山積みです。

この記事では、そんな「引っ越しと掃除」に関する面倒な悩みを一つずつ解消し、スムーズな退去と新生活のスタートをサポートするための情報を網羅的に解説していきます。

記事のポイント

  • 引っ越しで掃除をしない場合のリスクがわかる
  • 退去時に必要な掃除の範囲と基準が明確になる
  • 状況に応じた効率的な掃除の進め方や対処法がわかる
  • 業者に依頼する場合の費用相場と注意点がわかる

引っ越しで掃除がめんどくさい時のリスクとは?

引っ越しで掃除がめんどくさい時のリスクとは?

  • 退去時に掃除しないとどうなる?
  • 掃除しないで請求されるクリーニング代
  • 退去時の掃除はどこまですれば良い?
  • 原状回復の義務と経年劣化の違い
  • 見落としがちなベランダ掃除はしないとダメ?

退去時に掃除しないとどうなる?

退去時に掃除しないとどうなる?

引っ越しの際、退去する部屋の掃除を全くしない場合、いくつかの経済的なリスクが発生する可能性があります。まず最も大きな影響が考えられるのは、入居時に預けた敷金の返還額です。敷金は家賃滞納などがなければ、退去時の修繕費用やクリーニング代を差し引いて返還されるお金です。掃除を怠ったことで部屋の汚れがひどいと判断されると、その分差し引かれる金額が大きくなります。

さらに、汚れの程度によっては敷金だけでは足りず、追加で費用を請求されるケースも少なくありません。これは、賃貸物件の借主には「原状回復義務」があるためです。この義務は、借主の不注意や通常の使用方法から逸脱したことによって生じた部屋の損耗や毀損を、元の状態に戻す責任を指します。

例えば、掃除をしていれば防げたはずのカビや油汚れは、この原状回復義務の対象と見なされることが一般的です。したがって、退去時の掃除は、単なるマナーの問題だけでなく、ご自身の金銭的な負担を軽減するためにも行うべき重要な作業と言えます。

掃除しないで請求されるクリーニング代

掃除しないで請求されるクリーニング代

退去時に掃除をしないと、貸主(大家さんや管理会社)が専門のハウスクリーニング業者に清掃を依頼し、その費用が借主に請求されます。この費用は、部屋の状態によって大きく変動するため注意が必要です。

基本的なハウスクリーニング代は、退去時にある程度の掃除がされていれば、敷金から差し引かれるか、契約時の特約に基づいて支払う範囲で収まることがほとんどです。しかし、掃除を全くしていない場合、通常の清掃作業に加えて特別な作業が必要となり、費用が上乗せされることがあります。

具体的には、以下のような汚れは追加料金が発生しやすい代表例です。

  • キッチンの換気扇やコンロ周りにこびりついた頑固な油汚れ
  • 浴室や壁に広範囲に発生したカビの除去
  • 室内での喫煙による壁紙全体のヤニ汚れや臭いの除去
  • ペットによる柱の傷や床のシミ、強い臭い

これらの特殊な清掃には、専門的な技術や強力な薬剤が必要となるため、数万円単位の追加費用が発生することも珍しくありません。自分で少し掃除しておくだけで避けられたはずの出費が、結果的に大きな負担となってしまう可能性があるのです。

退去時の掃除はどこまですれば良い?

退去時の掃除はどこまですれば良い?

退去時の掃除について、「一体どこまでやれば良いのか」という点は、多くの方が悩むポイントです。結論から言うと、「入居した時と同じレベルまでピカピカにする」必要はありません。目指すべきは、「ご自身が住んでいる間に発生させた、常識の範囲を超える汚れやゴミがない状態」にすることです。

賃貸物件の原状回復においては、国土交通省が定めたガイドラインが存在します。このガイドラインでは、借主が負担すべき費用と、貸主(大家さん)が負担すべき費用が明確に区別されています。

借主の負担となる可能性が高いもの

借主の故意・過失や、通常の清掃を怠ったことで生じた汚れや損傷が対象となります。

  • 飲み物などをこぼしてできた床や壁のシミ
  • 結露を放置したことによる窓枠や壁のカビ
  • 掃除を怠ったキッチンの油汚れやシンクの水垢
  • タバコのヤニによる壁紙の黄ばみ
  • 家具の移動時に付けてしまった大きな傷

貸主の負担となる可能性が高いもの

普通に生活していても自然に発生する損耗や、時間の経過による劣化(経年劣化)が対象です。

  • 日光による壁紙やフローリングの色褪せ
  • テレビや冷蔵庫の裏の壁にできる電気焼け(黒ずみ)
  • 家具の重みでできた床やカーペットのへこみ
  • 画鋲やピンの小さな穴

以上のことから、退去時の掃除では、特に借主負担となりやすい「掃除不足が原因の汚れ」を中心にきれいにすることが、合理的かつ効果的なアプローチと言えます。普段から掃除が行き届いている場所は、最後にホコリを取る程度で十分な場合もあります。

原状回復の義務と経年劣化の違い

原状回復の義務と経年劣化の違い

前述の通り、退去時のトラブルを避けるためには、「原状回復義務」と「経年劣化」の違いを正しく理解しておくことが鍵となります。この二つの境界線が、費用負担の分かれ目になるからです。

原状回復義務の対象となる例

原状回復とは、借主の住まい方や使い方に問題があって生じた損耗を元に戻すことを指します。これは「本来であれば発生しなかったはずの汚れや傷」とも言い換えられます。

例えば、以下のようなケースが該当します。

  • 壁に物をぶつけて穴を開けてしまった。
  • 換気を怠ったため、お風呂場がひどいカビだらけになった。
  • ペットが柱や壁を傷つけてしまった。
  • 室内でタバコを吸い、壁紙が全体的に黄ばんで臭いが染み付いた。

これらは、借主が少し注意を払ったり、基本的な手入れをしたりしていれば防げた可能性が高いものです。そのため、修繕費用は借主の負担と判断されます。

経年劣化と判断される例

一方、経年劣化とは、誰が住んでも時間の経過とともに自然と発生する品質の低下や損耗を指します。これは建物の価値が時間と共に減少していく一環であり、その修繕費用は家賃に含まれていると解釈されるため、貸主の負担となります。

具体的には、以下のようなものが挙げられます。

  • 窓からの日差しで、壁紙や畳が色あせた。
  • ベッドやソファを長期間置いていた場所の床がへこんだ。
  • 壁に貼ったポスターの跡や、カレンダーを留めていた画鋲の小さな穴。

要するに、一般的な生活を送る上で避けられない自然な変化は経年劣化、不注意や手入れ不足による人為的な変化は原状回復の対象、と区別されます。この基準を念頭に置いて部屋の状態を確認することが、不当な請求を防ぐ第一歩となります。

見落としがちなベランダ掃除はしないとダメ?

見落としがちなベランダ掃除はしないとダメ?

室内の掃除に気を取られ、ベランダやバルコニーの掃除をつい後回しにしてしまう、あるいは忘れてしまう方は少なくありません。しかし、ベランダも賃貸契約における専有部分の一部であり、退去時には掃除をしておくのが原則です。

ベランダの掃除を怠った場合、室内の汚れと同様に、原状回復費用を請求される可能性があります。特に注意すべきポイントは以下の通りです。

私物やゴミの撤去

植木鉢や物干し竿、エアコンの室外機カバーなど、ご自身で設置したものは全て撤去する必要があります。粗大ゴミなどを放置して退去するのは絶対にやめましょう。貸主は借主の所有物を勝手に処分できないため、残置物の処理費用を別途請求される原因となります。

排水溝の詰まり

落ち葉や土、砂などが排水溝に溜まり、詰まりかけている状態は問題視されます。大雨の際に水が流れず、階下に水漏れするなどのトラブルにつながる恐れがあるためです。排水溝周りのゴミは必ず取り除いておきましょう。

ひどい汚れやコケ、サビ

長年置いたままの鉢植えの下にできたサビや黒ずみ、日当たりの悪い場所に発生したコケなどは、「通常の清掃を怠った結果」と見なされることがあります。デッキブラシで軽くこする、あるいは雑巾で拭くなど、落とせる範囲で清掃しておくことが望ましいです。

ただし、マンションの規約によっては、ベランダで大量の水を使うことを禁止している場合があります。掃除を始める前に、一度賃貸借契約書や管理規約を確認することをおすすめします。少なくとも、ほうきで掃いてゴミやホコリを取り除いておくだけでも、貸主の心証は大きく異なります。

引っ越し掃除がめんどくさい人向けの解決策

引っ越し掃除がめんどくさい人向けの解決策

  • 掃除は退去の何日前まですべきか
  • 掃除が間に合わない時の対処法
  • 害虫対策と掃除、どっちが先?
  • プロの業者に頼む場合の費用相場
  • 引っ越しで掃除がめんどくさい時の結論

掃除は退去の何日前まですべきか

掃除は退去の何日前まですべきか

引っ越し時の掃除を効率的に、そして負担なく進めるためには、計画性が大切です。退去日直前に慌てて全てを終わらせようとすると、体力的にも精神的にも大きな負担となり、掃除の質も低下しかねません。

理想的なのは、荷造りと並行して、退去日の2週間ほど前から少しずつ掃除に着手することです。

2週間前:普段使わない場所から手をつける

押し入れやクローゼット、戸棚の中など、普段あまり開け閉めしない収納スペースから荷造りを始めると良いでしょう。物がなくなったスペースから、ホコリを拭き取ったり、カビがないかチェックしたりします。この段階で掃除を済ませておけば、直前の作業が格段に楽になります。

1週間前:水回りやキッチンを重点的に

荷造りが本格化するこの時期に、汚れが溜まりやすい水回り(浴室、トイレ、洗面所)やキッチンの掃除に取り掛かります。カビ取り剤や油汚れ用の洗剤は、付けてから時間を置くことで効果が高まるものが多いため、時間に余裕のあるこのタイミングで行うのが最適です。ただし、引っ越し直前まで使う場所なので、仕上げの掃除は前日か当日に行います。

退去前日~当日:全体の仕上げ

全ての荷物を運び出した後が、最後の仕上げのチャンスです。家具がなくなると、隠れていた壁の汚れや床のホコリが目立ちます。部屋の隅々まで掃除機をかけ、フローリングワイパーなどで床全体を拭き上げましょう。天井や壁の高い部分のホコリは、柄の長いワイパーを使うと簡単に取り除けます。

このように、作業を分散させることで、一つ一つの掃除に集中でき、質の高い状態で部屋を明け渡すことが可能になります。

掃除が間に合わない時の対処法

掃除が間に合わない時の対処法

計画的に進めていても、仕事の都合や予期せぬトラブルで、どうしても退去日までに掃除が間に合わないという状況も起こりえます。そのような場合は、やみくもに焦るのではなく、冷静に状況を判断し、現実的な対処法を選択することが重要です。

優先して掃除すべき場所を決める

全ての場所を完璧に掃除する時間がないのであれば、「特に汚れが目立ち、貸主がチェックする可能性が高い場所」に絞って掃除しましょう。

優先順位が高いのは、以下の場所です。

  1. キッチン: コンロ周りの油汚れ、シンクの水垢
  2. 浴室: 排水溝の髪の毛やぬめり、浴槽内の水垢
  3. トイレ: 便器内の黒ずみや黄ばみ
  4. 玄関: 靴の跡や砂・泥汚れ

これらの場所は、生活感が最も出やすく、汚れが放置されていると貸主の心証を大きく損ねる可能性があります。最低限、これらのポイントだけでもきれいにしておけば、追加のクリーニング費用が法外に高くなるリスクをある程度抑えることができます。

専門のハウスクリーニング業者に依頼する

「ポイントを絞っても、やはり時間が足りない」「自分でやっても汚れが落ちない」という場合は、思い切ってプロの力を借りるのも賢明な判断です。

ハウスクリーニング業者に依頼すれば、短時間で部屋全体を効率的かつ高品質に仕上げてくれます。もちろん費用はかかりますが、自分で掃除する時間や労力、洗剤などを購入するコスト、そして追加費用を請求されるかもしれないという精神的なストレスを考慮すると、結果的にコストパフォーマンスが良い場合もあります。

退去日までの日数が少ない場合は、すぐに対応してくれる業者を探し、見積もりを取ってみましょう。

害虫対策と掃除、どっちが先?

害虫対策と掃除、どっちが先?

このテーマは、特に新居への引っ越しに関する重要なポイントです。前の住人が退去してから時間が経っている物件や、空室期間が長かった物件では、入居前に害虫対策をしておくと安心して新生活を始められます。

くん煙・くん蒸タイプの殺虫剤(バルサンなど)を使用する場合、その効果を最大限に引き出し、かつ衛生的な環境を整えるためには、**「害虫対策が先、掃除が後」**という順番が鉄則です。

その理由は、殺虫剤を使用すると、部屋の隅々や家具の隙間などに隠れていた害虫が駆除され、その死骸が床や表面に出てくるためです。もし掃除をした後に殺虫剤を使用してしまうと、せっかくきれいにした部屋に害虫の死骸が散らばってしまい、再度掃除をする手間が発生します。

新居での正しい手順

  1. 荷物を搬入する前に、まず殺虫剤を使用する。 部屋を密閉し、用法・用量を守って製品を使用してください。家具などがない状態で行うのが最も効果的です。
  2. 製品の指示に従い、規定の時間放置する。
  3. 時間が経過したら、窓を開けて十分に換気を行う。 30分~1時間程度、しっかりと空気を入れ替えます。
  4. 換気が終わったら、掃除を開始する。 掃除機で床全体のホコリや害虫の死骸を丁寧に吸い取ります。その後、フローリングワイパーや固く絞った雑巾で拭き掃除を行い、部屋全体を清潔な状態に仕上げます。

この順番を守ることで、目に見えない害虫のリスクを減らし、クリーンな環境で新生活をスタートさせることができます。

プロの業者に頼む場合の費用相場

プロの業者に頼む場合の費用相場

退去時の掃除を自分で行う時間がなかったり、長年の汚れが自力では落とせなかったりする場合、プロのハウスクリーニング業者への依頼は非常に有効な選択肢となります。費用はかかりますが、その分、時間と労力を節約でき、原状回復に関するトラブルのリスクを大幅に軽減できます。

費用は、部屋の間取り、広さ、そして汚れの度合いによって大きく変動します。以下に、一般的な退去時クリーニングの費用相場をまとめました。

【間取り別】退去時ハウスクリーニングの費用相場

間取り 基本料金の目安
1R・1K 25,000円 ~ 40,000円
1LDK・2K 35,000円 ~ 60,000円
2LDK・3K 50,000円 ~ 80,000円
3LDK・4K 70,000円 ~ 110,000円

上記の基本料金には、キッチン、浴室、トイレ、洗面所、窓ガラス、床、壁のホコリ取りなどが含まれていることが一般的です。

オプション料金が必要になるケース

ひどい汚れや特殊な清掃が必要な場合は、基本料金に加えてオプション料金が発生します。

  • エアコン内部の分解洗浄: 10,000円~15,000円/台
  • レンジフード(換気扇)の分解洗浄: 15,000円~20,000円
  • 床のワックスがけ: 1,000円~/畳
  • 壁紙のヤニ・カビの特殊洗浄: 別途見積もり

業者選びのポイント

業者に依頼する際は、後悔しないためにいくつかのポイントを押さえておくことが大切です。

  1. 複数の業者から見積もりを取る: 必ず2~3社から相見積もりを取り、料金とサービス内容を比較検討しましょう。
  2. サービス範囲を確認する: 基本料金にどこまでの作業が含まれているのか、オプション料金はどのような場合に発生するのかを事前に詳しく確認してください。
  3. 実績や口コミを確認する: 業者のウェブサイトで施工実績を確認したり、第三者の口コミサイトなどで評判をチェックしたりするのも有効です。

料金だけで選ばず、サービス内容や対応の丁寧さなども含めて、総合的に信頼できる業者を選ぶことが、満足のいく結果につながります。

引っ越しで掃除がめんどくさい時の結論

引っ越しで掃除がめんどくさい時の結論

  • 退去時の掃除をしないと敷金が減り追加費用も
  • 原状回復義務は借主の過失による汚れが対象
  • 経年劣化や通常損耗は大家さん(貸主)の負担
  • 掃除の目安は「普通の生活で出るホコリがない状態」
  • キッチン・浴室・トイレの水回りは重点的に掃除する
  • タバコのヤニや放置したカビは借主負担になりやすい
  • ベランダのゴミや排水溝の詰まりも忘れずに確認
  • 掃除は退去の2週間くらい前から計画的に始める
  • 荷造りと並行して空いたスペースから掃除すると効率的
  • 時間がなければ水回りなど優先順位をつけて掃除
  • 新居では害虫対策(バルサン)を先に行いその後掃除
  • 専門業者に頼むのも時間と労力を節約する有効な手段
  • 業者依頼の費用は間取りや汚れ具合によって変動
  • 業者を選ぶ際は複数の見積もりを比較検討する
  • 費用トラブルは消費者センターなどに相談できる

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